小豆島はオリーブの島だ。

明治41年に、国の政策により、オリーブは裁植された。小豆島の他にも、鹿児島などで同様に裁植されたらしい。しかし、栽培に成功したのは小豆島だけだった。
そんなわけで、現在でも小豆島はオリーブの島として知られている。



実際島に行くと、バス停などの植え込みにもさりげなくオリーブが植えられていたり、道端にもオリーブが植えられていたりと、そこかしこに見かけることができる。そしてそれらは比較的若い木が多いように見える。オリーブは3年で実をつけ、5年経ってオリーブ油がやっと取れる。苗木を植えても、実際に収穫できるようになるのは時間がかかるのだ。小豆島ではオリーブの栽培が奨励されており、町ではオリーブの苗を4分の1の価格で、町民に売っている。栽培面積を増やしていこうというわけだ。それだからか、山道の行き止まりになってしまうような道の脇にも、突如10本ほどのオリーブの木が植えられていたりしてビックリする。

しかし、そういったオリーブ畑はどれも小規模だという印象を受ける。北海道の牧草地、ジャガイモ畑や、ヨーロッパの山の斜面に広がる葡萄畑のような、その地域の印象を決定づける風景を形作っているわけではない。小豆島の基本的な風景は森林だった。山の緑は濃く、それは多くの水を貯めているように見える。小規模な島の宿命として慢性的な水不足であるため、森林は残さなければならないはずだ。しかし、折角オリーブが名産であるわけだから、それでももっと大規模にオリーブ畑を増やすことはできないものかなと思う。




土庄(とのしょう)・・・小豆島で一番大きい町・・・から東に5kmほど行ったところにある池田という小さな町があるのだが、そこから棚田がある中山方面へ1kmほど行ったところに、オリーブを販売しているお店があった。観光客があまりこなさそうな場所なので期待する。私は土産物屋よりも、出来るだけ地元の人も買いそうな店を選んでしまう。通常ビンに入っているオリーブが500ml程のペットボトルに入って、1,000円ちょっとと、他の店より安い印象だった。しかし、お店の人に聞いて驚いたのだが、なんとそのオリーブオイルはスペイン産なのであった。お店にあるオリーブオイルのうち、一番高い4,000円近くするものを除いて、全てのオリーブオイルがスペイン産。諦めて買わずにでてきた。「小豆島はオリーブの島だから買っていこう」と思う観光客にとってはスペイン産のオリーブオイルを買わなければならないのは残念なことなのである。スペイン産のオリーブオイルなら、東京の地元のスーパーでも買える。なぜわざわざ小豆島で買わなければならないのか?

他も回って分かったのだが、小豆島産のオリーブオイルというのは、かなり少なく、高価だ。良くてもスペイン産と小豆島産のブレンドだった。ブレンドの比率は分からない。



結局のところ、小豆島はオリーブが名物かもしれないが、「産地」ではなかった。

需要に比べて供給が圧倒的に少ない。もっと大規模にオリーブ畑を作らないと、「オリーブの島に来た」と思っている人を満足させられないだろう。観光客だけではなく、国産のオリーブオイルにはそれなりの需要があると思うのだけれど・・・。

とはいえ、小豆島で買うオリーブオイルは実際のところ美味しかった。オリーブ公園の道の駅で1,000円程のブレンドのオイルを買ってみたのだが、島にいる間の朝食はいつもパンにオイルをかけて食べていた。ミネラル豊富な岩塩を入れると更に美味しい。個人的にオリーブが大好きなので、100%小豆島産のオイルやオリーブの実が、もっと気軽に産地価格で買えるとありがたいな、と思う。