リスト音楽院の建物が全面的に改装されて、リニューアルされたと聞いていたのでとても楽しみにしていたのだったが、なんということか中に入れてもらえなかった!以前は自由に出入りしていた音楽院の出入口は、新しい美術館の入り口のような自動改札になっており、制服を着た門番が何人かいた。「昔の学生で、先生に会いに来たんだけど・・・」といっても入れてもらえない。ハンガリーではこういう時色々と事情を申し立てて粘っていると入れてもらえることがあるのだが、この連中はまったく融通が効かない。私としては「ふざけんな!」である。



しかし、翌日また来てみると、この日は声楽コンクールかなにかをやっており、正面の大きな扉が堂々と空いていて音楽院内を自由に見て回れた。なんだかよくわからない。まぁハンガリーではこういうこともままある。



今回、特に先生達には連絡もせずに突然行ってしまったので、先生達に会うことはかなわないのかな・・・と思ったがピアノのソコライ・バラージュ先生に電話をしてみると、これから音楽院に行くとのことで運良く会えて翌日には一緒に食事をすることも出来た。話をして分かったのだが、先生は最近ではドイツでも教えていてハンガリーに居ることは以前より少ないそうだ。本当に運が良かった。

先生は相変わらずお元気で、道で立ち話をしていたら次々と知り合いが通りかかり「Szia! Szia!(やぁやぁ)」と人気者ぶりを発揮。別れ際には女の人が「Puszi(頬にキス)してくれないの?」とせがまれてしまう相変わらずのモテ男だった。(全然変わっていない!)

音楽家にとってこういう外向的な素養というのは必要なのかな・・?と考えてしまうが、いや、もちろんそれ以前に先生は凄いピアニストなのだけれど。

ピアニストにも色々な方向性の人がいるので「なにをもって凄いと言っているのか?」と問われると簡単には答えられない。だが「ピアニスト」という一つの一般的で平均的な尺度をもし用意できるとしたら、どう考えてもその中で「凄い人」の部類にはいると思う。コンサートで聴いても目の前で聴いても「こんな人に教えてもらっている(いた)のか!」と思わせてくれる人だった。

今回、他の先生には会えず・・・。そもそもハンガリー滞在が実質3日間だったので、これはちょっと短すぎた、と反省。今回の旅行は盛りだくさんで素晴らしかったのだが、こうして振り返ってみると一番大事なことが抜け落ちていたようで、「本末転倒。なにやってんだろう?」という感じ。

とはいえ、色々と「準備」が出来ていなかったかもしれない。せめて新しいアルバムでも作ってからまた伺いたいな・・・と思う。