2008年10-12月期の実質GDP(速報値)が内閣府より発表になった。
四半期で3.3%マイナス、年率換算で12.7%マイナス。

内閣府 平成20 年10~12 月期四半期別GDP速報(1次速報値)


内閣府が発表した2008年10―12月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス3.3%、年率換算マイナス12.7%となり、7―9月期の前期比マイナス0.6%に比べ、成長率は低下した。

GDPデフレーターは前年同期比プラス0.9%、国内需要デフレーターはプラス0.4%だった。

http://jp.reuters.com/article/economicIndicatorsAndComments/idJPnTK023435720090215


GDPはGross Domestic Productの略で、日本国内で行われた全ての生産活動による、材、サービスの総額。
GNP(Gross National Product)だと日本人による海外での生産活動も含むが、GDPはあくまで日本国内のみ。

実質GDPは物価の上げ下げによってGDPの値が変化しないようになっている。仮に物価が2倍になっていても、生産量が変わらなければ、実質GDPも変わらない。

名目GDPは単純に生産量に価格をかけたものなので、仮に物価が2倍になっていれば、名目GDPも2倍になる。

GDPデフレータは
GDPデフレータ = 名目GDP ÷ 実質GDP
なので今回発表のGDPデフレータがプラスと言うことは、物価は若干上がっているということ。
直近の4四半期はいずれも1%以上のマイナスだったのだが、ここに来て上昇。

それにしても、年率換算で12.7%マイナスとは、この落ち込みっぷりは凄まじい・・・。
生産活動が急激に萎縮している。

物価はどうなるのだろう?

物価が上がり、景気が悪い・・・となると「不況下の物価上昇」で恐怖のスタグフレーションだ。

現在、原油価格は下値で安定。金価格はかなり上昇。まちまちだ。
急激な生産活動の萎縮があるから、原油価格は下がったのだろう。
金価格の上昇は、投機マネーもあるかもしれないが、根本的に貨幣への信頼の揺らぎとも考えられる。
銀行が倒産したらどうしよう?という不安だ。

今後、物価は上昇するのか?
原油も食料も、商品全般、価格の上昇はこれから充分にありうるだろう。
そもそも地球上の人口は増え続けている。発展途上国の生活水準も上がっている。
原油も食料も供給が増えなければ(増えないだろう)長期のトレンドとして、価格の上昇が見込まれる。

うーん、しんどい時代だな。

そんな中、内閣支持率は10%を下回り、財務大臣は国際会議の記者会見で酩酊状態(!?)だった。
この支持率で内閣を運営していっているのはある意味尊敬に値する。
財務大臣もお疲れだったのだろう。

それはさておく。

私は思う。
どうにもこの世を覆っている、昨今のこの不安感は一体何なんのだと。

実体の知れない金融危機・・・それはある。
そして実体経済が急激な冷え込み・・・それもある。

私は思うのだが・・・
結局のところそれは生活不安。この先やっていけるんだろうか、と。
生活不安は例えば年金だったり、消費税増税だったりする。
その大元は国や地方の莫大な借金。
今、円は買われている。しかし比較的健全だったはずの日本の企業、その株が買われない。理由は国の財政赤字だとも言われている。消極的相対的に円は買われているが、日本買いではない。

この不安感の根源の一つは「政府や地方は、ちゃんと有益なお金の使い方をしてくれるのだろうか?」・・・そこにあるのではないかと思うのだ。

マネーサプライを増やしたり、日本政策投資銀行を通して、市中銀行への融資を増やす。
必要かもしれない。しかし、これは、ある意味、カンフル剤。風邪をひいて、風邪薬や栄養ドリンクを飲むようなもの。
一時的に良くはなるかも知れない。しかし、肺炎だったら、効かないだろう。

根源的に重要なのは、体質改善であり、生活改善。
いくら風邪薬を飲んでも、生活が悪ければまた体調は悪化するだろう。

必要なのは、歳出の徹底的な見直しだと思う。

GDPに占める、政府最終消費支出は17%。多いとも言えるが、今回年率換算で10%以上の減少なので、仮に17%がゼロに(そんなことはないだろうが)なったとしても、日本がひっくり返る訳ではない。
確かに、今の状態で大幅な歳出削減はかなりまずい。(健康のために病人にジョギングさせるようなものだ)
しかし、歳出先を思い切って変えていくことはできるし、実際のところ無駄が多いのだ。
それは、年金の問題を見ても分かるし、今までの経験上、政府系機関は金の使い方が甘い。

小泉改革で、あれほど改革改革といっていたのに、省庁への予算配分では、ほとんど変更がなかったのが、印象的。
あれだけ人気のあった内閣でもこの部分ではほとんどなにもできなかった。

解散総選挙から逃げ回っている今の内閣にそれができるだろうか?