作曲すると音を譜面に書いていくことになるのですが、この時ピアノで弾いて録音しておくと楽譜に落とすのが難しいニュアンスが後から確認できるので便利です。
譜面にすらせずにいきなり即興で弾いて録音し、後から聴き直してその中から曲にしていくことさえあります。

今までそんな時はRolandのR-1というWAVE/MP3レコーダーを使っていました。これはボイスレコーダーをステレオにしてレベル調整も行えるようになっているという、いわば音楽録音専用のボイスレコーダーみたいなものです。今は各社からステレオで録音できるレコーダーが多数発売されていますが、これはそのはしりのような製品でした。

R-1で録音して、USBケーブルでパソコンと繋ぎ、ファイルを取り込みパソコンで試聴して確認できます。

長いこと頑張ってくれました。


で、先日iPadがやってきてからというもの、iPadをレコーダーとして使うようになっています。

iPadは色々な「アプリ」をインストールして使うことが出来ますが、レコーダーもそれこそ沢山(無料のモノも数百円の有料のモノも)発売されています。沢山あるので選択肢が多く、逆に選ぶのに困るほどです。

iPad用にステレオで録音できるオプションのマイクがサードパーティから発売(1万円以下のものもあります)されているのでそれを使うのも良いと思いますが、私は今のところはデフォルトの内蔵マイクで録音して、そのままiPadのモノラルのスピーカー(もしくはヘッドフォン)から聴いています。内蔵マイクでモノラル録音なら音質も悪いんじゃ?・・・と思われるでしょう。それはその通りで、レコーディングのような良い音はもちろん期待できません。でもこれがなかなか音楽的と言ったらよいのか、上手く言えませんが、聴ける音なのです。私は好きです。

昔、子供の頃ですが、SONYのモノラルのラジカセで、エアチェックした音楽を繰り返し聴いていた時代がありました(遠い目)。あの音に近いというか、決してハイファイな音ではないのですが、音楽を気持ちよく聴かせるのに必ずしも大きなスピーカーなどの大規模な機器が必要というわけでもないのだな・・・と思わせてくれる音です。あのSONYのラジカセは良かったなぁ。あのラジカセで聴く、エアチェックしたベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」が私の中の音楽の原点・・・みたいなところがあります。一般的な「良い音」にはない魅力があると思います。もちろんこういうのは、アヒルが生まれて最初に見た生き物を母親だと思うのに近いものがあるかと思うので、客観的に人に勧められるかって言うとそうでもないと思いますが。・・・まぁいいや。

話が逸れましたがとにかくiPadの音は小さなモノラルマイクと小さなモノラルスピーカーであるにも関わらず、いい音だと私は思います。

なにか秘密があるのでしょうか。きっと試行錯誤してこうなっているのかも知れませんね。これは、なかなかのものです。


さて、録音、試聴を繰り返すときに、やっぱり便利だなと思うのは、画面が大きいので、波形が表示できたり、録音した音のリストが一覧で表示できたりといったところでしょうか?

私は、ヤマハが発売しているCloud Audio Recorderを使っています。たったの170円。
(ヤマハさん。有り難いんだけど、安すぎやしません?)



このアプリ、まず目立っているのはオープンリールのテープです!

デジタルなのにオープンリールか!と突っ込みたくなりますが、なかなかいいと思います。なぜって、録音している時に、リールがくるくる回っているので、「今、録音しています」というのが遠めにも一目瞭然だからです。こういうのって重要ですね。機能的には赤いランプが点滅していたら、それで録音しているって十分理解できますが、それよりもリールが回る方が視認性はずっといいです。そして「味」があります。

録音した音源は、一覧で表示されます。デフォルトで日付と時間の名前がつけられます。もちろん変更可能。再生するときは波形が表示されるので、音源の途中から再生するとかそんな時とても便利です。

音源はiTunesを使えばパソコンに取り込めますし、SoundCloudというクラウド(ネット上にあるサーバ)に音源をアップロードできます。アップロードした音源は自分で他の機器(パソコンでもスマホでも)聴くこともができます。広く世界に公開することもできます。

私の場合、iPadをピアノの所に持っていって録音して、終わったら別の場所に持っていって聴く・・・といった使い方でしょうか。シンプルですね。でもシンプルに使わせてくれるところが良いと思います。Roladn R-1の時は、パソコンのに取り込んで座って聴くのが基本でした。R-1で再生することも出来ますが、ディスプレイが小さいので、使い勝手は良くなかったのでほとんどR-1で再生することはありませんでした。持ち運べないと言うことは取り込んでパソコンで聴くことになるわけですが、パソコンの前で聴くとどうしても「作業をしています!」という聴き方になってしまうように思います。iPadを手軽に持ち運んで聴いた方が、だいぶいい感じです。

そんなわけで、iPadを購入した私でありますが、今のところはもっぱら音楽用として使っています。

将来的にはアプリでなにか作れないかな・・・と思っておりますが。