さて、JASRACに著作権を預けると出来なくなることとはなんでしょう。

・コンサートで自分の曲を「無料で」弾けなくなる。

コンサートで自分の曲を弾く時でも使用料を払わなくてはならなくなります。
クラシックのコンサートでは、例えばJ.S.Bachのような大昔の作曲家はですから著作権が既に消滅しています。
しかし、現存の作曲家、もしくは死後それほど時間が経過していない作曲家の作品を演奏する場合、著作権料を支払わなくてはなりません
そして、JASRACに委託する以上、自分の曲を演奏する場合でも著作権料を一旦支払わなくてはなりません。
もちろん、受け取り手も自分なのですが、手数料が引かれますのでその分がコストになります。

実は、楽曲のプロモーション目的で自作曲を使用する場合は使用料の支払いが免除になるのですが、条件の中に「対価を得ない場合」という条件があり、入場料を取った場合この規程に引っかかり免除になりません。
そんなわけで、私がやっているようなコンサートで自分の曲を弾いたら、JASRACに申告して使用料を収めなくてはなりません。

http://www.jasrac.or.jp/profile/covenant/pdf/royalty/royalty.pdf


・自分のホームページで楽譜を有料で販売することが「事実上」できなくなる

JASRACに委託する場合いくつかの「支分権」というものが存在します。
演奏、録音、貸与、出版などの使用方法によっていくつかの分類がされています。またさらに細かく利用形態という分類もあり、そのなかにインタラクティブ配信というものがあります。
これは主にインターネット上で楽曲を使用する場合についてのものです。
ホームページ上での楽譜の販売は支分権の「出版」に該当するかと思いきや、利用形態のインタラクティブ配信に該当するようです。
(なかなか複雑です)

インタラクティブ配信の規定の中にちゃんと楽譜の販売に関する規定があり、使用料はだいたい販売価格の10%程度で、それ自体はまぁ妥当な割合と言う気がします。しかし、使用料の最低月額というものがありこれがなんと月額5,250円(税込)になります。
売れに売れるのなら別ですが、普通にホームページで販売するだけなら、そんなに売上もないでしょう。であるなら、とてもこの月額最低料金の元を取ることはできそうもありません。

http://www.jasrac.or.jp/contract/trust/explan.html


・無料の音楽配信サイトに登録する時に「注意」が必要になる。

JASRACに委託することにより、音楽配信サイトに楽曲を掲載する際に注意が必要になります。インターネット上で楽曲を配信する際、無料であろうと有料であろうと使用料を払う必要が出てきます。もっとも使用料を払うのはサイトの運営者ですので、楽曲をアップロードする側は気にしなくてもよいとも言えますが、例えばBGMとして知人のサイトに音楽を提供している場合など注意が必要です。無料だと思って使ってくれているかも知れませんがJASRACから請求が来るかも知れません。
大手の音楽配信サイトであっても無料で配信しているところなどは、JASRACに登録していないことを条件にしていることもあります。