米大統領、AIG高額ボーナスに強い不快感
(CNN) 米政府の支援を受け公的管理下に入っている保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の一部幹部に高額ボーナスが支給されている問題で、オバマ米大統領は16日に支給差し止めを図る意向を表明し、こうした支払いが暴挙だとコメントした。
http://cnn.co.jp/business/CNN200903170001.html


さてさて、アメリカの金融村の住人達はどれほどの報酬を得ているのだろうか?


安藤茂彌氏(トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO)の「シリコンバレーで考える」を読んだ。

http://diamond.jp/series/siliconvalley/10016/

氏は香港でシンジケートローンの仕事をしていた。そこでは、アメリカの銀行が主幹事となり、いくつかの銀行が集まって融資を行うのだが、アメリカの銀行員達の報酬は、他国の銀行員とは1桁、時には2桁違っていたということだ。仮に日本の銀行員の年収が800万だとしたら、アメリカ人は8000万、いやそれ以上、億単位の報酬を得ていたらしい。

羨ましい話だ。

しかし、そういう人たちは「スタープレイヤー」と呼ばれていた。言ってみれば、野球の世界でのイチローや松坂のような存在だったのだろう。
希有な技能を持つ人・・・・ということで、金融機関同士での引き抜き合戦で、報酬が上がっていったのかもしれない。
まぁ、そういうこともあるかもしれない。

しかしだ。


 不思議なのはボーナスが必ずしも業績にリンクしていないことである。トレーディング部門はサブプライムローンの償却で昨年360億ドル(3兆6000億円)の大赤字を計上しているが、それは同部門の責任者が着任する前の出来事であるとして、13億円のボーナスを支払っているのである。ではこの赤字の責任は誰がとったのか。

 商品取引の責任者は他社からの引っこ抜きの話があったとして、経営陣に2年間に渡って毎年16億5000万円のボーナスを約束させている。これも業績には全く関係なく支払われた。逆にメリルリンチがある人物を引っこ抜く際の条件として、29億4000万円を支払ったことがある。だが同人は3ヵ月後に他社へ転職してしまったという詐欺まがいの出来事も報告されている。即ち、他社との引っこ抜き合戦がスタープレイヤーに法外なボーナスをもたらしているのである。


現在、金融危機・・・なわけである。

アメリカ政府は既にAIGに対して、7兆円をつぎ込み、78%の大株主。
この支援はもちろん税金で賄われているわけで、それでも高額の報酬を得ている社員がいる状態は、アメリカ人の納税者やオバマ大統領の怒りを買うのは当然かと。

高額の報酬自体は、資本主義である以上、やむを得ないというか、正当な見返りであれば問題ないかと思う。
(ビル・ゲイツやジョージ・ソロスがやっているように、「社会に還元したら?」とは言いたいが。)

しかし、報酬を受け取れるような状態ではないにもかかわらず、これだけの報酬を支払おうとする・・・。これは一体何なのだろう?

「大きいから潰せない」
「破産は影響が多きすぎる」

などと言われる。

そうなのか?

山火事が起こったとする。人は自然破壊を悲しむが、アラスカの原住民イヌイット達にとって、山火事は「Welcome」なのだそうだ。
火事が起こると大きな樹がなくなり、下草が生え、低木が成長する余地が生まれ、そこに動物が集まり、つまりは獲物が増えるらしい。

大きな樹は日光を遮る。よって、地上で成長することが難しくなってしまう。

私は、「大きいからこそ潰せ」・・・と思う。

大きいところが潰れることで、小さいところが伸びる余地が生まれる。
メガバンクが潰れても、小さな銀行がその後伸びてくれば良いのだ。
いつか、AIGの替わりになる保険会社も沢山あるはずだ。

「そうは言っても、現実にはAIG他を破産させたら、世界恐慌になる」という声もあるだろう。
それも現実かも知れない。

しかし、本来あるべき姿は、

1)大きいところが潰れても、影響が出ないような政策を考える
2)潰れた時、経済に大きな影響がでるような大きさにはさせない(一種の独禁法)

のどちらかのはず。

日本のバブル崩壊で、公的資金が銀行に注入された。
次起こるときのために、このような法律が出来るかと期待したが、残念ながらなかった。


どうも、AIGもGMも他も「我々は大きい。政府は潰せるはずがない。」などと思っていやしないか?

私は、遠慮なく破産させたらいいと思うが。

破産させた際にどのようになるかは、私には分からない。
しかし、ジム・ロジャースは「潰した方がよい」と言っている。

http://jim-rogers.seesaa.net/article/114936013.html

彼によれば、その方が、最終的な立ち直りは早いらしい。